【亜鉛は誤解されている】

亜鉛は人体にとって非常に重要なミネラルであるにも関わらず,これまで日本ではほと
んど普及していません。日本ではミネラル全般に対する認識が薄く,特に亜鉛に対しては
”鉛と特に同じではないか”という【誤解】が多く,適切な商品が少かった為です。

---【亜鉛は誤解されている】-------------------------------------------------------
★その1
×亜鉛は毒
○亜鉛は鉄に次いで大切な必須ミネラルです
★その2
×亜鉛など特に必要ではない
○中高年男性の成人病や生殖機能障害には,特に亜鉛が必要です
★その3
×まだ若いから亜鉛は不足していない
○アメリカでは大学生(男子)の23%が無精子でした
★その4
×亜鉛の効目がはっきりしない
○尿の『切れ』が良くなるので,自覚症状がはっきりでます
★その5
×亜鉛が必要なのは男性だけ
○女性にも亜鉛は欠かせません
★その6
×亜鉛は食物から充分取れている
○亜鉛は熱に弱く調理で壊れます
★その7
×亜鉛は食後に摂取するのが良い
○和食は亜鉛の吸収を悪くするので,胃腸に不安のない方は空腹時に摂取するのが理想です
★その8
×亜鉛は毎日15mg摂取すればいい.
○亜鉛は摂取しても100%吸収できません.一日15mgではたりません.

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【亜鉛は誤解されている】
★その1
×亜鉛は毒
○亜鉛は鉄に次いで大切な必須ミネラルです

亜鉛は鉛と混同され,身体に悪いという先入観を持っている方が大勢いますが,亜鉛は
鉄の次に大切な必須微量金属です.亜鉛は身体の成長のもとになる蛋白合成に欠かせな
い必須ミネラルで,細胞の増殖を促進するRNA(リボ核酸)や遺伝子を中継するDN
A(デオキシリボ核酸)の合成をします.また,インスリンをはじめ,なかでも,男女
『生殖機能』への働きは際だっており,アメリカでは『セックスミネラル』として大量
に使用されています.

人体が含有する亜鉛は2~3gで,このうち50%は血液中に,25%は骨や皮膚に,
残の25%は各種臓器に含まれています.【表1,表2参照】
亜鉛は体内各部分の生体化学反応および代謝に応じて蛋白質,酵素等と結合し,血液を
介して各臓器,骨と各部細胞間を移動します.
亜鉛の機能についてはまだまだ道野部分が多く今後の研究が待たれますが,最近の医学
薬学栄養学によると,亜鉛には次のような基本機能があるとされています.

表1;人体中の必須微量金属の含有量(体重70㎏の男性)
元素名 含有量(g) 含有濃度(μg/g)
鉄 4.0--6.0  57.1--85.7
亜鉛 2.0--3.0  28.5--42.8
マンガン 0.1  1.43
銅 0.08  1.14
セレン 0.012  0.171
モリブデン 0.01  0.143
クロム 0.002  0.029
コバルト 0.0015  0.021

表2;体内の亜鉛含有量(μg/g灰分)
器官 平均値 範囲 90%範囲
前立腺 6300 1500--9600
腎臓 4500 2300--6500
肝臓 3200 1600--6000
心臓 2500 1500--3700
膵臓 2200 1000--3500
大動脈 1950 900--3000
卵巣 1600 750--2800
こう丸 1300 680--2500
脾臓 1300 900--1900
肺臓 1300 660--1700
脳 750 480--1050
上記以外でも眼,側頭葉の海馬にも多く含まれる
(財団法人緒方医学化学研究所「微量金属代謝」第1集)

①蛋白質の合成・DNA・RNAの合成・代謝の促進
亜鉛をアミノ酸が結合して蛋白質の構成を安定的に保ち,細胞分解,DNA・RNAの
合成に重要な働きをします.多数の亜鉛蛋白質の存在が確認されており,最近では遺伝
子に関わる亜鉛フィンガーという活性蛋白質が発見されています.

②蛋白質の分解・消化
亜鉛は,蛋白質の合成だけでなくその電子特性により,蛋白質を分解・消化する機能が
あります.鉄や銅が酸化還元反応に関係するのと異なり,亜鉛は加水分解反応に関係す
ることが分っています.

③人体の生化学反応を制御する各種酵素の生成
亜鉛は酵素と結合して多様な生化学反応を媒介・制御します.カルボキシペプチターゼ
,サーモリシン,ロイシンアミノペプチターゼなど,現在まで100種以上の亜鉛酵素
が発見されています.

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これら①~③までの点から,亜鉛は人体の成長,代謝作用,各臓器機能の正常化(生殖
機能の強化),脳細胞および中枢神経の発達,創傷の治療作用に重要な働きをします.


④重要ホルモンの生成に関与
さらに亜鉛はインスリン,テストステロン,FSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体形
成ホルモン)等,重要なホルモンの形成に関与しています.
特にインスリンについては,インスリンの生成だけではなく,インスリンの作用である
糖代謝にも亜鉛が不可欠であることと言われており,糖尿病の改善に有効です・

⑤亜鉛は基本的な免疫系を賦活化し,免疫機能に不可欠
亜鉛は歳とともに衰えて来る甲状腺や胸腺の免疫系とも深い関係があり,T細胞(特に
リンパ球)を増加させるなど,免疫系を活性化します.また増え過ぎると癌や成人病を
引き起こすといわれる活性酸素(フリーラジカル)をコントロールする酵素(SOD等
)の作用に,亜鉛は欠かせません.亜鉛の免疫系における作用は,人体のマスターホル
モンといわれる松果体のメラトニンに似ているといわれています.



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【亜鉛は誤解されている】

★その2
×亜鉛など特に必要ではない
○中高年男性の成人病や生殖機能障害には,特に亜鉛が必要です

亜鉛は十二指腸から吸収されますが,年令ともに吸収率と貯蔵能力は低下します.アメ
リカでは40才を過ぎたらサプリメントで補給するのが常識になっています.
サプリメントのメリットは,食品からの摂取に比べてカロリー過剰にならず,必要量を
効果的に摂取出来ることです.

亜鉛が欠乏すると,体内分布からも分る通り,生殖機能に関わる障害が起りやすくなり
ます.主な欠乏症は次の通りです.

1.生殖機能の不全を起します
2.前立腺炎の原因となります
3.糖尿病の要素となります
4.免疫不全,骨格異常の一因になります
5.免疫不全を引き起こし,病気にかかりやすい体質になります
6.身体面,精神作用面ともに活力に乏しい体質になります
7.味覚障害や臭覚障害,陽性肢端皮膚炎を起します
8.創傷に対する治癒力低下を招きます
9.コラーゲン代謝不全を招皮膚,毛髪の異常を起します
10.高血圧,動脈硬化,『ボケ』の一因といわれています
11.癌や成人病の誘因になります
12.血中亜鉛濃度の低下が種々の老化的機能障害の原因であるとの説があります


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【亜鉛は誤解されている】

★その3
×まだ若いから亜鉛は不足していない
○アメリカでは大学生(男子)の23%が無精子でした

フロリダ大学の調査によると男子学生の23%が精液1CCあたりの精子の数が2000
(無精子とみなされ,不妊の原因となる)以下であったといわれ,これがあめりかでの
亜鉛ブームのきっかけになったとされています

生殖機能に関わる器官には,前立腺,こう丸,副こう丸,精嚢,精管などがありますが
,亜鉛が不足すると,これらの器官に様々な障害を引き起こします.
1.射精能力の不全;精液量の減少,性感の低下
(正常な精液は白色だが,異常が起ると黄色みを帯びてくる)
2.精子の異常 ;精子の数の減少,精子の異常(奇形),が起りやすくなります.
(不妊の原因になる)
3.陰茎の機能不全;勃起不全,持続力の低下,硬度低下が起ります.

表3 精液の生成場所
器官 生成量
分泌液 前立腺 35~40%
精 嚢 55~60%
精 管 微 量
※1回の射精の精液量は1~3.5ccといわれます

表4 精子の量
正常なケースの平均値 精液1ccあたり4000~6000万
妊娠能力が低い場合 〃 4000万以下
無精子と見るケース 〃 2000万以下

※射精1回あたりの精子の数は1億5000万~4億といわれます

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【亜鉛は誤解されている】

★その4
×亜鉛の効目がはっきりしない
○尿の『切れ』が良くなるので,自覚症状がはっきりでます

前立腺への亜鉛供給量を増やすことで前立腺肥大などの前立腺炎を改善でき,その結果
排尿の勢いが増します。
前述の通り,亜鉛は前立腺に最も多く分布しており,老化による中高年男性の前立腺炎
は亜鉛の不足が引起こす代表的な症例です

表5 亜鉛不足による前立腺炎の症状
排尿不全------排尿の勢いがなくなり,排尿に要する時間が長くなります.
これは前立腺の肥大により尿道が圧迫されるためです.
残尿感--------排尿が終っても,尿がまだ残っている感じがします.
これも前立腺の肥大により尿道が圧迫されるためです.
失 禁-------排尿後,椅子に座った時など,座面からの圧迫で,微量の失禁を
するようになります.

表6 亜鉛の前立腺肥大への働き
排尿の改善 尿の勢いがよくなり,排尿時の快感が増します.
「尿の切れ」が良くなったという自覚症状が現れます
男性生殖機能 さらに亜鉛の効果が進むと,勃起不全,持続力不足,硬度低下などの
の回復 男性生殖器の回復につながります.
亜鉛が精嚢,精管,副こう丸に働き,分泌液や精子の生成を促進する
ため,年令による男性生殖機能の衰えを補います.
若々しさを取戻せる訳です.

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【亜鉛は誤解されている】

★その5
×亜鉛が必要なのは男性だけ
○女性にも亜鉛は欠かせません

亜鉛は女性の生殖器に働くだけではなく,胎児や乳児の正常な成長を促進する働きも備

表7亜鉛不足による女性の諸症状
◆生殖機能の低下
卵子の形成や分泌液の生成が阻害されます
米国の研究によれば,無亜鉛食を半年間与えると,FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH
(黄体ホルモン)の量が急激に降下したと報告されており,亜鉛不足が不妊につながる
ことが実証されています.

◆胎児の発育不全
胎児の正常な発育(特に脳の発育)や免疫力が低下します.
細胞の増殖を促進するRNA(リポ核酸)や遺伝子を中継するDNA(デオキシリポ核
酸)をはじめ,体の成長のもととなる蛋白質合成,ホルモンや酵素の生成が,亜鉛不足
で異常を起こすためとみられます.

◆乳児の発育不全
乳児の体(特に生殖器官)の成長不全をはじめ免疫不全,脳の発達不全がおこります.
心身ともに元気な子供を産み育てるには母体に充分な亜鉛が必要です.
通常,母乳には必らず亜鉛が含まれていて乳児の成長に大きく関わっています.そのた
め母乳から亜鉛を摂取できない乳児の為に,粉ミルク(母乳代替品)には,硫酸亜鉛,
グルコン酸亜鉛が食品添加剤として配合されています.
亜鉛を食品添加剤として厚生省が認めているのは,この母乳代替品だけです.えています.


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【亜鉛は誤解されている

★その6
×亜鉛は食物から充分取れている
○亜鉛は熱に弱く調理で壊れます
食品にはかなりの量の亜鉛が含まれているのは事実ですが,食事から亜鉛の必要量()
を摂取しようとすると,カロリー過多で肥満を招きかねません.
自然の食品には亜鉛が微量ずつ含まれていますが,加熱により大幅に減少します.下の
表は代表的な食品の,加熱前と加熱後の亜鉛含有量を示しています.

表8 代表的な食品の亜鉛含有量(mg/100g)
食品名 mg
【穀物】 玄米 6.44精白米 3.79小麦薄力粉 8.02 ふ 19.09
【芋類】さつまいも 0.32 じゃがいも 0.66 さといも 1.86 やまのいも 0.55
【種実類】 アーモンド 10.73 ごま 14.00 ピーナッツ 3.73
【豆類】 あずき 5.04 大豆 4.33 絹ごし豆腐 1.70
【魚類】 かつお 0.80 さけ 0.40 さば 0.50 さんま 1.32 まいわし 1.57 いか 1.20 いいだこ 2.50
あさり 2.79 あわび 1.72 かき 73.07 さざえ 10.13 しじみ 3.53
【藻類】 あまのり 27.40 根こんぶ 2.00 わかめ 6.06 かんてん 28.00
【肉類】 牛肉 5.00豚肉 2.05羊肉 4.00鶏肉 1.68鶏卵 5.97
【野菜】パセリ 2.67ピーマン 0.42 ほうれん草 1.16だいこん 0.56にんじん 0.40キャベツ 0.34トマト 0.40
【その他】 ココア 21.73煎茶(一番茶)135.20抹茶 133.50


表6 加熱による食品の亜鉛含有量の変化
食品名 加熱前 加熱後 食品名 加熱前 加熱後
精白米-->ご飯 3.797 1.18  そば粉-->そば 6.35  1.11
もち米-->もち 3.83  1.14  そうめん 2.00  0.99
小麦粉-->パン 8.02  1.09  マカロニ 7.40  1.30

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【亜鉛は誤解されている】

★その7
×亜鉛は食後に摂取するのが良い
○和食は亜鉛の吸収を悪くするので,胃腸に不安のない方は空腹時に摂取するのが理想です

胃にフィチン酸があると亜鉛はフィチン酸と結合して「難溶性」の亜鉛に変化し,体内
に吸収されずに体外へ排出されてしまいます.
フィチン酸は,米,麦等の穀類や大豆,小豆等の豆類に多く含まれています.
「ごはん」に「みそ汁」という伝統的な和食は,亜鉛の吸収を妨げてしまうのです.

通常,食事は2~3時間で胃を通過するので,亜鉛のサプリメントを摂取するのは,そ
の後が理想的です.亜鉛のサプリメントは胃の中で約30分で溶け十二指腸で吸収され
るので,「食事の1時間前」というのが一番わかりやすい摂取法といえるでしょう.

また,亜鉛のサプリメントは牛乳で飲まないこと.高濃度のカルシウムと出合うと,亜
鉛は「難溶性」に変化し,体内に吸収されないまま排出されてしまいます.

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【亜鉛は誤解されている】

★その8
×亜鉛は毎日15mg摂取すればいい.
○亜鉛は摂取しても100%吸収できません.一日15mgではたりません.

FDA(米国食品医薬品局)基準値は,1日あたりの亜鉛必要量を15mgとしていま
すが,これは亜鉛の体内蓄積量が充分な人のケースです.

亜鉛は,大便,尿,膵液,汗などを通じて体外へ排出されます.
排出量は1日12mg~14mgとされています.
摂取した亜鉛は100%体内に吸収されないので,排出量に見合った亜鉛を補給する為
には15mg摂取するだけでは足りません.加えて,もともと亜鉛の体内保有量が少な
い人の場合,さらに大量の亜鉛摂取量が必要になってくる訳です.

表10 亜鉛の必要量の基礎データ(成人男子平均値・体重70㎏)
体内の亜鉛保有量 2~3g
1日当り排出量 12mg~14mg
※ネフローゼ,糖尿病,肝硬変,高血圧の場合,尿への排出はさらに増加

表11 亜鉛の安全性(1日15mg以上摂取した場合)
無毒です
大量投与による人体への悪影響は認められません.亜鉛は標準体重摂
取量と摂取限界量(2000mg/日)の差が大きいためです.
ただし,他のミネラルを排除する働きがあり,とくに銅を排除します
.カドミウム,水銀などの重金属類の排除作用が強く,かつて「イタ
イイタイ病」の治療に用いられたケースがあったようです.

安全です
人体はネガティブ・フィードバック・システムを備えており,亜鉛を
大量摂取しても,血清亜鉛値を一定に保ちます.
血清の亜鉛濃度が高い場合,腸の亜鉛吸収率は低くなる.
血清の亜鉛濃度が低い場合,腸の亜鉛吸収率は高くなる.
実験では1日当り400mg投与しても,血清亜鉛濃度は170~180mgを越
えないと報告されています